木蓮がこぼれるように咲いているのを見て心躍ったのはいつだったか。気づけば桜も散ろうとしている。ここ1、2年でいつもの道の桜がどんどん切られていったから、桜が咲いたという感覚もないまま。
いつもの道がいつもじゃなくなって、慣れない道がいつもの道になる。
お客さんの来ないお店、人の手でつくられ、渡されるはずのものたちは、しずかにそれぞれの場所にいる。誰よりも一緒の時間を過ごして、仲間になった。
時間はとまっているようで動いている、山や川、海みたいな、光があたって色が生まれ、きれいだなって、ビー玉拾い。部屋のいちばんいい場所に置いてねむる。
ユイ