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公開交換日記 ユイ⇄ヒ

イマジナリーな夕べ

思ったより早く強い雨。重たく曇っていて、排気ガスと一緒に閉じ込められて頭痛がする。都会の空気だなあと思う。

 

あらゆるものの中でもとくに、海風は故郷を感じさせる。においと触覚と、両方でせまってくるからだと思う。最寄駅からの帰り道の橋の上、ものすごく強い海風で、なんでか説明できないけど、やたらとたのしい気持ちにさせられた。何年か前、久しぶりに故郷に帰ったとき、あ、風に吹かれても大丈夫なように、前髪を切ったんだったと、思い出して、すこしさみしくなった。

 

東京でも月島とか、東京湾に近いと海のにおいはするけれど、ぜんぜんちがう。故郷のはもっと強い。生っぽい、生き物っぽい、貝のにおい。

 

それから、頭のうえになんもない。すこーんと抜けていて、自分がいつもドームの真ん中。頭の中までひらいているよう。よく空を見てたし、川を見てたから、動物をよく見てた。夕焼けどきにはぜんぶが赤。強い赤。 夕焼けを見れればそれだけで一日が救われる。毎日見れたらいいのにな。ブラジルの海辺の街では、夕暮れどきにはわらわら海辺に人が集まって、日が沈むのを見て、また戻ってゆくんだって。「みんななにしてるの?」「夕焼けを見てるんだよ!」そういうのいいよね。だいじだよね。

 

今日は仕事が22時までの日で、しかも雨だからぜんぜんむりだけど、職場の階段を駆け回ってると、ときどき夕焼けが見えてはっとする。それから、いつも仕事している場所は西に大きい窓があって、冬は強い西日のあとに、青と赤のグラデーションがやってくる。それだけでにこにこしてしまう、そういうのがすき。

 

ユイ