ダンス
自分のまわりがどんどん動いていって、心をどうにか保とうとするひとつきだった、少しでも考えると泣いてしまうから、考えないようにして。落ち込んでも、ぐっと立ち直る術を体得しようと、立ち直れたらダースの箱を開けて、ご褒美だよーって、ひと粒食べてみたりしている。
隣の家の樹の葉がきれい。すっと塗った絵の具がきれい。残り物でつくったおかずが、ひいおばあちゃんのそれと無意識に似ていた。
そうやってかき集めるもの。
お花やさんに寄る。
ふつうに生きてたら、悲しくなっちゃうんだから、たのしいこととか、うれしいことに、無理矢理にでも、ばかみたいでもさ、注目していくしかないよ、
隣の人に口走って、はっと自分にも、声をかけた。
ツールとしての手を、無目的に動かせばダンスになる。でもツールのまま、踊ることもできるのじゃないか。喜びをみちびくように絵の具をひいて、体をうごかしてみる。なんにも考えてないみたいにはいられないけど、気持ちいい方へ、そしたら自然に笑ってられるよね、
ユイ